第56回学習会 残された被爆者問題

残された被爆者問題と題した学習会を行いました。
講師は前全国被爆二世団体連絡協議会会長の平野伸人さんです。
今回の学習会では特に、長崎の「被爆体験者」について学ぶことにしました。
なぜなら、「被爆体験者」の事は、こちらの新聞ではほとんど取り上げられていないからです。
平野さんはまず、在外被爆者に対する日本政府のありかたを話されました。
韓国などに住む被爆者らが来日し、裁判を起こして一つずつ権利を勝ち取って行った過程をお聞きするにつれ日本政府の冷たさを感じました。
「被爆者はどこにいても被爆者」という当たり前な事が、裁判をしないと通らないのです。
今も日本外に住む被爆者は、医療費の助成に上限があったり、原爆症認定の申請は日本に来なければできなかったりしています。
そしてこの冷たさが「被爆体験者」にも通じているのです。
原爆に直接被爆した人が被爆者と認めてもらうためには、被爆時にどこにいたのかが鍵になります。
長崎市の場合、当時の長崎市を基準に線引きをしたため、南北に細長い地域(12km)にいた人が被爆者となりました。何度か修正されましたが、未だに、爆心地から12kmのところにいたのに被爆者と認められない人がいます。
政府はその人たちを「被爆体験者」としました。しかし「被爆体験者」には被曝者健康手帳が支給されません。ガンになっても医療費の助成はありません。
しかも現居住地が長崎県以外なら「被爆体験者」にさえなれないのです。
こんなおかしな制度はありません。
被爆し、火傷さえしているのに被爆者と認められない・・・。
今、長崎で裁判が行われています。
戦後64年が経とうとする今、戦争を知らない世代が、被爆者達を苦しめています。
被爆者の声に誠意を持って耳を傾けて欲しいです。
平野伸人さんが本を出されました。
「海の向こうの被爆者たち 在外被爆者問題の理解のために」
八月書館
1500+税
在外被爆者問題の最初から関わってきた平野さんでなければ書けない内容です。
ぜひご購読を!

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