福島原発についての声明
このたびの東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様にお見舞い申し上げます。
今回の地震及び津波により福島第一原発が甚大な事故を起こしました。
二週間以上経っても事態は悪化するばかりです。
住民の方や原発で働く労働者の方々の体が心配です。
この事態に対する緊急声明を作りました。以下声明文です。
緊急声明
このたびの東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様にお見舞い申し上げます。
この震災により福島第一原発で甚大な事故が起きています。日本政府並びに東京電力はすぐに周辺住民へ原発の被災状況を知らせ避難勧告をすべきでしたが、避難勧告を出したのは翌日でした。しかも詳しい事情を知らせなかったため、直ぐに戻れると思っていた住民が大事なものを家に置いたまま避難したと聞きます。
また今回の事故により多くの労働者が被曝しています。原発事故などで「緊急作業」をする際の被曝限度は年間100ミリ・シーベルトですが、厚生労働省は今回、被曝線量の限度を、250ミリ・シーベルトに引き上げています。その結果、3月25日現在、少なくとも14人の作業員の被曝線量は100ミリ・シーベルトを超えています。
しかも14日には3号機の冷却機能が下がった炉心に海水を供給する作業をしている時に、水素爆発が起こり作業員や自衛隊員が被曝しました。24日にはタービン建屋の地下一階で3人が被曝しました。3人のうち2人は、足の皮膚表面の被曝線量は2000~6000ミリ・シーベルトと高く、作業中に吸い込んだ放射性物質による内部被曝もあることが放射線医学総合研究所(千葉市)での精密検査で分かっています。
私達は広島・長崎の原爆による被爆者の生き様を家族として見てきました。被爆者は66年が経とうとする今も原爆症で苦しんでいます。その子どもである被爆二世も被爆者と同じような病気で苦しんでいる人がいます。
福島第一原発から漏れている放射性物質に関し、日本政府や電力会社、原発や放射線の様々な専門家は声を揃え、「ただちに健康被害はない」と言いますが、私達には信じられません。被曝して苦しむのは、そこに住んでいる住民であり、作業にあたっている労働者です。命を最優先に考えて欲しいと思います。
この危機的状況において、私達は国、自治体、および東京電力ならびに全ての電力会社に対し以下のことを、要望します。
1、子どもと妊婦の一刻も早い避難を実現すること
広島・長崎の被爆者のうち、幼少の頃被爆された方が晩年になり癌に罹っている方がおられます。
細胞分裂が活発な時期に被曝することはさけるべきです。
2、一層の被曝を避けるため、避難区域を拡大すること
原発から40km離れた飯舘村でも高い線量の被曝が確認されています。例えばアメリカ政府は80km圏内からの避難を勧告しています。避難地域を国の責任で拡大させてください。
また、避難地域から安全圏への移動が困難な人については国や東京電力が移動手段を確保し避難させてください。労働者の中には会社が営業しているため避難できない人もいます。国は企業に対し、労働者が避難できるよう便宜を図ること、避難したからといって解雇等を行わないよう指導して下さい。
3、被曝地域におられた方、今もなおおられる方に被災証明並びに3月11日以降の行動を記録するものを配布すること
今後、被曝した方々には国および東京電力が責任をもって補償してください。
そのため、どこで被曝したのかを証明する被災証明と3月11日以降の行動を記録するものを配布してください。また、健康診断を長期にわたり実施して下さい。その上で安心して生活できるように医療費の助成等の援護施策を講じて下さい。
4、外国籍住民に対し母国語での情報提供をすること
上記1~3を含め外国籍住民被災者が必要とする避難場所・食料配給場所・医療現場・安否情報等の最新情報を母国語で提供してください。また外国籍住民が役所・避難先職員や被災地の方とやりとりする際の通訳を準備してください。
外国籍住民被災者を差別するようなデマなどが流れないように対処して下さい。
5、全国の原子力発電所の新規・増設を白紙撤回させ、稼働中のものを停止すること。また国の原子力政策を抜本的に見直すこと。原発を輸出しないこと。
原発がなければ誰も被曝せずにすみました。今回の事故で原発がクリーンなエネルギーではないことが白日の下にさらされました。ただちに原発に頼らない国作りを実行してください。
また現在原発のある地域で30km圏内の全住民を対象とした避難方法が確立しているのかを早急に確認して下さい。