全国被爆二世団体連絡協議会
オンライン総会の報告

4月2日(土)、全国をオンラインでつないで全国被爆二世団体連絡協議会(以下、全国被爆二世協)の総会が開催された。
 小宮伸二副会長(長崎)が司会を行い、黙とう、そして議長に藤井耕一郎(神奈川)さんを選出した。
 崎山昇会長(長崎)は、開会あいさつで、「被爆70年の総会で2つの新たな活動方針を決定した。一つは、国際社会すなわち国連人権理事会で被爆二世が置かれた状況を人権侵害だと訴え、日本政府に被爆二世の人権を補償する対策を求める取り組みと、もう一つが被爆者の運動に学び、裁判を通して国の被爆二世に対する援護対策を実現しようというものだ」と話され、日本国内はもとより、国際社会で被爆二世や将来世代を含む核被害者の人権確立と核廃絶を訴えるための具体的な取り組みを提案した。
◯第10回NPT再検討会議(8月1日~26日@ニューヨーク国連本部)。全国被爆二世協の代表団の派遣など今後の取り組みについて検討する。
◯核兵器禁止条約の第1回締約国会議(6月22日~24日@ウィーン)。日本政府に対して条約ヘの署名、条約の批准を求めると共に、会議への参加を求める。
また、全国被爆二世協の代表団の派遣を検討すると共に、条約第6条の被害者に対する援助についての「被害者」に被爆二世など将来世代の核被害者も含むこと、被爆者援護法の本来の立法趣旨に基づいた総合的な被害者に対する援助を行うことを求める。
最後に「原爆放射線の遺伝的影響を否定できない核の被害者である被爆二世が、被爆者の体験を継承し、自らの体験を踏まえて、被爆二世や将来世代を含む核被害者の人権確立と核廃絶を訴えていくことは、私たち被爆二世の使命であり、責務である。被爆者の皆さんが高齢化していく中、原水禁運動の先頭に立つのは、被爆二世であることを自覚し活動する。共に頑張りましょう」と締めくくった。

 続いて来賓の原水禁国民会議の共同議長の金子哲夫さんは、ロシアのウクライナ軍事侵略によって多くの市民が犠牲になっていることにふれ、軍備によって市民の財産や命は守られないと告発された。その上で「核兵器のない世界を実現するためには、広島・長崎の被爆の実相を基に核兵器が非人道兵器であることを今まで以上に訴えなければならない」「被爆者が高齢化し、いずれ被爆者がいない時代を迎えたとき、被爆二世がどんな役割を果たすのか、果たさなければならないのか、今後の被爆二世団体連絡協議会の活動の中で、大きなテーマとして議論を進めていただきたい」と話された。
 次に、森本真治参議院議員の連帯メッセージを読み上げた。

 議事に移り、平野克博事務局長(広島)より2020・2021年の経過報告・活動報告、2018・2019年と2020・2021年の会計報告が提案され、会計監査報告もあり、活発な質疑ののち承認された。続いて、寺中副会長が2022・2023年の活動方針及び予算について提案し、小宮副会長が2022・2023年の役員体制を提案され質疑ののち、すべて承認された。
 そして、「被爆地ヒロシマ出身の岸田文雄内閣総理大臣・自由民主党総裁への要請」が総会宣言として決議し、総会を終えた。

 続いて、被爆二世集団訴訟弁護団団長の在間秀和弁護士から「被爆二世訴訟の争点と焦点」と題した記念講演が行われた。ウクライナのゼレンスキー大統領が、アメリカでは真珠湾攻撃や9.11を例にあげたのに、国会演説で広島、長崎の原爆被害に触れなかったことに疑問を投げかけた。ロシアのウクライナ軍事侵略に乗じて「核共有論」が日本の元首相や「日本維新の会」から出る等「非核三原則」を壊そうとする動きが出る中で、改めて非核三原則の重要性と被爆者援護法の精神の大切さを話された。被爆者援護法の精神とは、一般の戦争被害とは異なり、原爆による放射線被害、というかつて経験をしたことのない特殊な被害であるが故に、放射線の被害を受けた可能性のある人たちを援護する必要がある、それは国家補償的配慮として行うべき。……これが裁判所の一貫した見解であり、援護法の基本的趣旨だ。だから、「影響があるかも知れないが、その可能性は極めて低いから無視しても良い」という対応は許されない。
改めて私たち被爆二世が、放射線被害の遺伝的影響の可能性を否定できない存在であることを訴えることの重要性を感じた。

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