上関の春を満喫!お花見クルーズ

2023年4月2日(日)に上関の自然を守る会の企画で、山桜を海から堪能するお花見クルーズが開催された。
 マルゴト博物館において事前学習があった。講師は、生物文化多様性研究所の安渓遊地さんと安渓貴子さんだ。小坂事務局長の司会のもと、まず高島美登里代表があいさつをされた。「東京、京都、山口とはるばる来られた皆さんのパワーが、雨の予定だった天気を晴マークにしました。「奇跡の海」と研究者から呼ばれる海を守るためには、豊かな山が必要です。今日のお花見クルーズは、船に乗って海から長島の景色を見ることでその豊かさを体感し、4隻のお花見船団で一緒に楽しみましょう」と。
 植物学者である安渓貴子さんがパワーポイントを使って3つのお話をしてくださった。
「1)瀬戸内海に面した上関の里山の大切さ―食料とエネルギーの域内自給の場だった―」「2)山口市北部・阿東つばめ農園の暮らし―食料もエネルギーも域内自給をめざして―」「3)ローカルフード・ローカルエネルギーの未来・山口の種子を守る会 ・みんなでつくる中国山地百年会議」だ。

 1)は、過去の話だ。上関の裁判で、原発予定地にある四代の神社地・共有地の調査を生態学会として市民や子どもと一緒にした時に、感じたことだ。他の多くの瀬戸内海がコンクリート護岸になっており、その自然海岸の残有率が平均21.4%であるのに対し、長島は75%も自然海岸が残っている。しかも、1975年頃までは、原発予定地の共有地を薪を取るために使用しており、その急な斜面は伐採した樹木をそのまま落として乾燥させるために使用してきたこと、乾燥した材木は船で運び、薪となってイリコなどを作るのに利用していた。長島の人に聞けば、暮らしていくうえで、食料よりも薪と水の確保が優先度が高かったと。だから、シイの常緑林や、アベマキ、コナラなどの薪林、竹林などが多く住民が生活の中で利用していたことがわかる。
 2)は、現在の話だ。阿東で、安渓先生が息子さんと一緒に農業をして、無農薬の米や大豆を作っていること、営農ソーラーを使って食料とエネルギーの自給をめざしていること。種が90%が輸入となっており、その地域にあった種を育てることの大切さを話された。
 3)は、未来の話だ。津和野フォレストエナジーという間引いた材木や樹皮や廃材からチップを作り、小型の地域発電を実現していること。国土の3分の2が森林という日本にあった発電方法で、雇用も生まれると話された。
 興味深かったのは、山桜は雑種で、一本一本遺伝子が違っており、咲く花の色、時期、葉のつき方などすべて違うということだ。

 安渓先生のお話を聞いてお花見クルーズに出発。晴天のなか、長島の山桜は至る所に咲いており、咲き方、色、葉のつき方などすべて違っていた。とても綺麗だった。山も色とりどりの緑に囲まれて気持ちよかった。海岸線は、岩肌がごつごつしていて、自然の造形美を感じた。波の静かな湾になっているところでは、ボラが飛んで姿を見せてくれた。
 原発予定地周辺の田の浦では、上関原発計画の概要とそこに住む希少生物の写真による説明もあった。原発予定地の山々もうっそうとした緑に囲まれていた。湾の中には、多くの海藻が繁殖し、小魚の巣となっていた。
 途中で、通称プライベートビーチ(白い浜)に立ち寄り、お弁当を食べた。浜辺に名前を知らない花が咲いており、安渓貴子さんが一つ一つの花の名前を教えてくださった。海岸では、アオサがたくさんついており、海藻の様子も見ることができた。帰りは、水しぶきを浴びながら、一路白浜に向かった。
上関の自然を満喫したお花見クルーズでした。

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