2025全国被爆二世交流会

 2月8日(土)・9日(日)の両日、広島市広島自治労会館において、全国被爆二世協主催の2025全国被爆二世交流会が開催された。全国から50名を越える被爆二世と支援者たちが集い、原爆被爆二世の援護に道拓くために、被爆二世集団訴訟の最高裁上告の意義を確認し、福岡・広島両高裁判決を踏まえた国会対策の取り組みと今後の闘いの展望について活発な論議をした。
 来賓として、野党の被爆者問題議員懇談会の幹事長である森本真治参議院議員がご挨拶をされた。森本議員は、挨拶の中で核兵器禁止条約の第6条「被害者援助と環境回復」の適用により、被爆二世は援護されなければならない。日本政府に核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加することを強く求める。国会で、被爆二世の援護を少しでも前に進めると話された。
 交流会の記念講演は、「被爆二世裁判から見えてくるもの」在間弁護団長と、「裁判における『ヒトの放射線被ばく影響評価』をめぐって」振津かつみさんの二つだ。
 在間弁護団長は、これまでの原爆裁判において他の分野の行政訴訟に比べ、裁判所は援護行政に対し、厳しい対応を取ってきた。何故被爆二世裁判においては、真の判決ではなく、原告らの請求を認めない理屈を捜し出すことのみに汲々としたのかを次の点から断罪された。
 それは戦後(被爆)80年という月日により、裁判官自身が被爆二世の健康不安を深刻なものと受け止める感性を持たず、被爆二世は少なくとも数十万人に上り、さらに三世・四世への影響も考えて、司法判断する必要性を持ち得なかったのでは。また、原爆は国際法に違反する反人道的兵器で絶対悪なのに、原爆放射線による被害の悲惨さ・深刻さに対する認識が欠如している。現在の核抑止論を正当化する風潮の中で、核兵器の有効性を前提に国家権力が“安全保障政策”をとっている現実に忖度したのではないか。私たちは、こうした日本の在り方を変えて、核兵器を絶対悪として過去の原爆被害者に向き合い、核兵器廃絶に向けた国際的努力ができる社会の実現を目指そうと締めくくられた。
 振津かつみさんは、裁判所が「統計的に有意な被害の疫学調査」が多数出ないと「被害」として認めないのであれば、被害の救済には全く役に立たないシステムと言わざるを得ないと司法を断罪された。被爆二世についても、親である被爆者の生殖細胞を介して原爆放射線の影響を身体に受けている可能性は否定できない。この基本的な遺伝学の科学的事実を捻じ曲げる国と原子力ムラの言う「科学」は、反核平和・反原発運動全体の課題として、断罪されなければならない。そのためにも、裁判闘争で得られたもの、運動として前進したことは何か?不十分だったことは何か?を整理し、多くの人々に知らせ、運動に巻き込んでいかなければならないと話された。
 若干の質疑応答の後、石破茂内閣総理大臣・自由民主党総裁への要請文を読み上げ、参加者全員の総意で採択された。休憩をはさみ、飲食無しの交流会で各組織個人の紹介がなされた。また、顧問の平野伸人さんより、この間の国会対策の経緯と今後の展望が話された。
 当会からは、平郡島での離島の人々の暮らしの大変さと、上関原発反対・中間貯蔵施設反対の取り組みや岩国基地の大強化に反対し地元住民と共に闘っていることや、全国自治体の被爆二世対策について、アンケート集計結果からわかることを報告した。
 2日目も、大阪や神奈川からの被爆二世の活動報告があり、有意義な交流会となった。

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