被爆二世の援護を求める集団訴訟(広島地裁)報告
3月29日(火)広島地裁で、原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟の第15回口頭弁論が開かれた。コロナ禍にも関わらず、多くの傍聴者で法廷は埋まった。私たち原告側は、2月28日(月)に長崎地裁で意見陳述した振津証人の証言調書を提出した。また、二世健康記録簿の見本も4つ(広島県・市、長崎県・市、山口県、大分県)提出した。振津さんは、ヒトにおいても親の放射線被ばくが親の生殖細胞を介して被爆二世にも放射線の遺伝的影響を及ぼすことをわかりやすく明らかにした。
国・厚労省(被告)側の中島証人は、人において放射線の遺伝的影響が今のところ確認されていないことだけをもって、振津さんの陳述を「風が吹けば桶屋が儲かる」という科学者としてはあるまじき言葉を使ってで批判し、たとえ被爆二世に放射線の遺伝的影響があったとしても、気にするほどではないと国の姿勢を擁護した。こんな言い分を絶対に許してはならない。
被爆二世健康記録簿は、75年間被爆二世に対して何もしてこなかった国が、私たちの援護を求める声に押されて、アリバイ作りのために作ったものだ。「この冊子では医療は受けられません」とわざわざ書いてあるのは国は被爆二世に医療保障をしないという姿勢の表れだ。
次回最終弁論は、7月27日午後1時30分から広島地裁で行われることになった。原告弁護団は、最終弁論で原告1名の意見陳述ができるように要請し、検討することになった。
事後集会では、向山弁護士が振津証人が作成した人への放射線の遺伝的影響を明らかにしたパワーポイントをしっかりと説明してくださり、貴重な学習会となった。弁護団の並々ならぬ努力と振津証人の証言によって、この裁判が大きな山場を迎えていることを参加者一同確認し、拍手でお礼をした。最後に、原告一同裁判勝利のために、世論を動かすような運動を作り出すことを誓って、集会を終えた。