上関フィールドワーク

 11月27日~28日久しぶりに上関のフィールドワークを行った。参加者は関西から8名、首都圏から1名と被爆二世の会から2名、合わせて11名だ。宿泊は、マルゴト博物館。名前の由来は、上関の自然をマルゴト体験するための発信拠点になって欲しいとクラウドファンディングを活用して作られたからで、宿泊施設兼体験学習施設となっている。

一日目
 「上関の自然を守る会」共同代表の高島美登里さんから上関原発建設計画をめぐる上関の自然を守る闘いの歴史と、原発に頼らない町づくりの現状について話していただいた。上関にはたくさんの希少な生物がいることをまず話していただいた。原発予定地の田ノ浦で見つかった世界で1個体のナガシマツボや大量の湧き水のおかげで生育するスギモク、そして世界に5000羽しかいないカンムリウミスズメが周年で上関に生息していること、原発計画の節目の時に希少生物たちがその都度声をあげて、少しずつ準備工事を遅らせてきたこと、そのことに祝島の漁師さんも喜んでいたこと、そして、ギリギリの所で東京電力福島第一原発の過酷事故が起き、2011年より上関原発建設計画そのものが中断していること。

 しかし、中国電力は今も上関原発建設計画をあきらめておらず、公有水面埋め立て免許の延長申請を繰り返し出していること、村岡山口県知事はそれを許可し続けていることなどを話された。
 また高島さん達が上関に移り住んだ当初、「何もない上関によく来たね。」と地元の人から言われた。その後多くの学者や海外からの研究者が上関に来てカンムリウミスズメやオオミズナギドリなどの調査をすることによって「奇跡の海」や「瀬戸内の原風景」などとテレビや新聞などで取り上げられるようになったことで、上関には素晴らしい自然があるんだということが地元の人にも確信となって、誇りを取り戻してきている。「何とか言う鳥を見たよ」と漁師さんからカンムリウミスズメのいた場所を教えていただくと本当に嬉しくなる。いま、漁業や農業、上関の自然の力で町民と一緒になって町を盛り上げている。もっともっと、上関の自然のすばらしさを世界中の人々に伝えたいと、パタゴニアの作成した映像シー・オブ・ミラクルズ(奇跡の海)を見せてくださった。翌日の長島を船で案内していただくための貴重な学習の場となった。

 18時からシーパラダイス室津で夕食は漁師飯♪を頂いた。イカ飯、2種類のイカの刺身、鯛の刺身、白子、メバルの煮付け、アジの塩焼き、ボラの唐揚げ、ゲソの唐揚げ、鯛飯、鯛汁。上関の魚を堪能し、満腹になった。漁師さん、ありがとう!!

二日目
 二日目の朝は早い。マルゴトで各自持ち寄った朝食を済ませ、9時過ぎには波止場へ。白浜の港から出発し、2時間かけて長島を一周案内していただいた。もう30分遅れていれば波が高くて出られなかったそうだ。海は、生き物。自然の厳しさを感じる瞬間だった。2隻の船が、海を走っていく。海から長島の自然の豊かさを感じる。今も残る自然の岩と岸辺。海には多数のウミウが舞っている。海岸の岩にはウミウが休んでいる。楽しい。たくさんの島が見える。八島、天田島、宇和島、ホオジロ島、祝島、鼻繰島、瀬戸内海は島の宝庫だ。
 海岸沿いに船を案内して頂いたので、中国電力が設置している上関原発計画の放水口の傍にあるブイや公有水面埋立区域を示すブイを見ることが出来た。予定地の海上から見ると自然の強さを感じる。2011年頃には丸裸にさていた陸地側の部分は、緑が生い茂っていた。「上関の自然を守る会」の三家本さんが原発予定地の田ノ浦海域で中国電力が目論む上関原発建設計画や公有水面の埋立免許を村岡県知事が今日(11/28)にも3度目の許可をしようとしていることなどを話された。ここが「奇跡の海」であり、自然の宝庫であり、100年後の未来に残したい思いが伝わった。

 その後、取水口の方にある岩に書かれた青ペンキの跡や、プライベートビーチとも言える200メートルも続く白い浜、そして柱状に連なる数々の岩の自然、ろうそく状に立つ岩々、そしてモアイ像に似た奇岩!この岩には下にすきまがあり、今にも倒れそうだが、決して倒れない珍しい岩だそうだ。船長さんは、「田ノ浦がどうしても注目されるけど、それに匹敵する自然が上関にはまだまだあるんよ」と言われた。最後は、ハイスピードで白浜に帰った。貴重な体験でした。

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