8・6広島青空式典報告

 被爆78年の8月6日の広島は、晴天だ。8時15分の黙祷を終えた後、「戦争と被ばくを許さない写真展」の準備をする。今年は海外からも多くの人が平和公園内を行き来している。その方達が足を止め、写真に見入っている。

 9時頃、全国被爆二世団体連絡協議会の崎山会長が来られ、連帯挨拶をされた。被爆二世集団訴訟、核兵器禁止条約締約国会議、NPT再検討会議、国連人権理事会への取り組みなどについての訴えを世界中から来た多くの人々が熱心に聞いてくださった。

 10時30分、被爆三世の司会で、8・6広島青空式典を開始した。開会の挨拶に続いて、1分間の黙祷を捧げた。
 次に被爆二世の会より基調を提起した。(以下要約)
 ここは公園ではなく、広島一の繁華街であったこと、多くの民衆が米軍が投下した原爆によって虐殺されたことをまず確認した。
 黒い雨の被爆者が被爆者援護法の3号被爆者としてやっと認められるようになったが、まだ被爆者と認められない方がいる。放射線の遺伝的影響の問題は、被爆二世・三世・四世と続いており、援護無き差別と健康不安だけが続いている。
 広島・長崎で被爆した人たちは日本人だけではない。多くの朝鮮人が強制連行などで日本に来ることを余儀なくされ被爆した。私たちは、日本のアジア侵略も、アメリカの原爆投下というジェノサイド(大量虐殺)も絶対に許さない。日米両政府義の戦争責任を追及し、世界中の民衆と共に、核と人類は共存できない、戦争も核も無い世界を作り出していく。
 また、岸田首相は昨年より原発回帰の政策をとり続けている。福島第一原発の溜まり続けている放射線汚染水を海洋に投棄しようとしており、これは犯罪だ。また、中国電力と関西電力が一緒になって上関に使用済み核燃料の中間貯蔵施設まで作ろうとしている。これは、民意ではない。今まで上関原発を推し進めてきたやり方と同じだ。私たちは上関町民とともに、上関の自然を活かした町作りを進めていく。新規建設としてある上関原発建設計画を許さない。

 続いて司会より、全国被爆二世団体連絡協議会とオーストラリアから連帯のメッセージを紹介した。そしてAWC日本連が、韓国でこの青空式典に連帯する形で記者会見が行われたことを報告した。青空式典は2013年から韓国の人たちと共同で取り組んでいる。今年は8月4日に、韓国のソウルの日本大使館前で今日の行動と連動する形で抗議行動が行われた。その時に発表された抗議文を読み上げた。

いよいよ各団体・個人の発言にうつった。
 まず、被爆二世の四名の方がそれぞれ発言した。

あじあんさん
 8月8日の福山空襲の日に改めて平和について考える機会としてコンサートを25年開いていることなどを話した後、原爆許すまじを口笛で演奏後、歌を歌う。

大阪の被爆二世
 12歳で建物疎開中に被爆した父親の話しや今年4月から乗ったピースボートの経験を話た。特にハワイのパールハーバー国立記念公園と広島の平和公園が姉妹公園提携したことにについて、姉妹公園提携することで、戦争がパールハーバーに始まり、広島で終わったことにされるのではという疑問を提示。「日本はアジアの侵略をし、その中で追い詰められて太平洋戦争に踏み切った。この15年戦争の歴史はどうなるのかと、日本に原爆が落とされて戦争が終わったというのは、まさにアメリカの言い分であって、それによってどれだけの被害が今も続いているかということを見えなくしている」と訴えた後、ピースボートでも歌った歌を歌った。

歌う被爆二世
 官邸前で歌っている歌を歌う。
 11歳で被爆した母親の体験や子どもの頃母親と平和公園に来たときの話しをした。なぜ戦争に反対しなかったのかという問いに「お母さんがお前の頃は、周りの大人は平和は大事だとわかっていたけども、隣組に密告されて特高警察に捕まってひどい目にあうから、みんな我慢して下向いていた。そしたら、ある日広島に原爆が落ちた。お前が大きくなって、もし日本がまた戦争をやると言い出したら、『平和は大事だ』と叫んで道路に立っておくれ。」と言われたことを話した後、もう一曲歌った。。

平郡の被爆二世
 柳井から船で1時間40分、いわゆる離島です。何しているかといったら、何もしていません。ただ、草を刈っているだけ。1年のうちの20回くらい船が止まります。のんびりしたかったら島に来て下さい。

福山の仲間
狭山再審闘争の大きな山場を迎えていること、石川さんの無実を勝ち取ろうと報告された。

福岡の仲間
宮古島の自衛隊配備増強や福岡の築城基地の増強に反対してきたこと、佐賀空港の自衛隊基地化に反対する地元住民と共に闘うと訴えた。九州電力玄海原発の再稼働問題、入管法改悪の実施問題が山積しているが、団結して頑張ると訴えた。

関西の仲間
介護の労働組合として発言した。介護業界の人不足の問題が、生活できない賃金の問題であり、報酬改定で介護労働者の賃金引き上げを勝ち取ることが絶対に必要だと訴えた。政府は、軍事費を一気に拡大し、その財源として高齢者と介護の予算を狙っている。介護報酬改定の問題が日本の軍事化と対決する最前線になっている。また、関電の老朽原発再稼働反対の闘いを進めている。これ以上、使用済み核燃料を増やすな。原発をうごかすな。12月3日に、大阪関電前で全国集会を開くので、夏はここ広島に集ったが、冬は大阪中之島に結集しようと訴えた。

連帯労組やまぐち
2023岩国行動の紹介や知事神社参拝違憲訴訟をしていること、毎年最低賃金の審議会の意見書提出や傍聴に取り組んでいることを報告し、全国一律一五〇〇円の実現を目指そうと訴えた。

やまぐち障害者解放センター
ウクライナ侵略戦争を弾劾し、戦争は社会的弱者を犠牲にすると訴えた。また、山口市と災害時の避難所の確立と付随した新庁舎のユニバーサルトイレの設計をめぐって交渉し、重度障害者が使えるみんなが使いやすいトイレを求めている。一緒に反戦・反核・反差別闘争を闘おうと。

憲法を活かす市民の会・やまぐち
バイデンもオバマも米軍岩国基地に立ち寄って、軍の司令官として、岩国基地をアジアにおける戦争出撃の拠点として戦略的に位置づけて、米兵を鼓舞した。今、核兵器廃絶の流れに逆行して、日米は核安保体制を整えている。特に、岩国基地で今年7月中に「ノーザンエッジ」という米軍の大規模な軍事演習が、日本の横田・嘉手納基地を含めて行われた。その運用拠点として、米軍岩国基地は使われている。被爆地の近くの岩国が、核安保体制の拠点となっている。核兵器廃絶と逆行する日米及びNATOの軍事演習、戦争への動きを断罪すると訴えた。

AWC山口
山口で8月19日に岩国国際デーという反戦・反核の学習会等を行う、11月18~19日の岩国行動をしっかり支えると訴えた。日米の戦争国家化が進む中で、岩国基地が米軍の動きの中心となっている。ちょうど、AWCが活動している韓国・台湾・日本・フィリピンという範囲が、線で結ぶとアメリカ軍が重視している防衛線(第一列島線)とがっちりと重なるので、AWCとしてアメリカ軍の全世界的な動きとがっちりと対決していく。

飛び入り発言
狭山差別裁判を考える福山市民の会の方が話した。狭山闘争は、今一番大変な時期になっており、署名が約五〇万人、団体署名が三七〇〇集まっている。更にこれを倍増して、必ずや石川さんを私たちの元へ取り戻す。昨日、脱原発の分科会へ行って、ALPS処理水はトリチウム汚染水であることを学んだ。原発再稼働を最初にやられた薩摩川内市で、私の友人が再稼働反対の運動をしており私も訴訟団に入っている。何回も現地にいったが、安全・安全というけど、逃げる道は無い。海を泳いで渡るしかない。反原発、反核、反差別の闘いを勝利していきたいと。

最後に、皆でシュプレヒコールを上げて青空式典を終えた。

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