ピースボート「ヒバクシャ地球一周 証言の旅」ドキュメンタリー映画を観て

ピースボート「ヒバクシャ地球一周 証言の旅」ドキュメンタリー映画
「フラッシュ・オブ・ホープ」エリカ・バニャレロ監督(コスタリカ)
「ヒバクシャとボクの旅」国本隆史監督(日本)
完成記念上映会×監督来日記念トークイベント
広島・長崎の被爆者103名が参加したNGOピースボートの第一回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」は、2008年9月7日から2009年1月13日まで行われました。その間、世界20カ国23港を訪れ、被爆体験を語りました。また、ベトナム戦争の枯葉剤被害者やナチスドイツによるギリシャでの被害者などにも会い、被害の様子を聞きました。その様子をエリカ・バニャレロ監督と国本隆史監督がそれぞれの立場で映像に納め、今春映画化され、その試写会が行われました。
「フラッシュ・オブ・ホープ」エリカ・バニャレロ監督(コスタリカ)
エリカ・バニャレロ監督は原爆のことをほとんど知らずにピースボートに乗船。映画では被爆者の証言と絵画、アニメを使い、原爆の被害を伝えています。核兵器のない世界を作っていきたいというメッセージがよく表現されていました。また原子力発電所についても、核兵器の元にもなるので廃絶しなくてはならないという立場で描かれていました。原爆を全く知らない人でも理解しやすい映画だと思いました。
「ヒバクシャとボクの旅」国本隆史監督(日本)
国本監督は日本の若者にありがちな原爆のことは聞いたことはあるけど、それほど関心がない中での乗船でした。ピースボートに乗船し被爆者の中でも、幼少の頃に被爆し、被爆体験を持っていない被爆者と話をするうちに、被爆体験の継承について共同で考えられると気づきます。また、ベトナムやギリシャで戦争の被害者の話を聞いた被爆者が「私達に何ができるのか?」と苦悩する姿を見て、国本監督自身が被爆体験を聞いた時と同じ感覚を被爆者も持っているのだと気づきます。いづれ被爆者が体験を語れなくなったとき、私達は被爆体験の継承をどうしていけばいいのか・・・。この映画で答えは出ていませんが参考になる映画です。
二つの映画に共通して感じたのは、被爆者の声をもっと多くの人に広げる運動を今行わなければならないということと、他国の戦争被害者の体験も聞き、戦争が悪だという世界共通の認識を持たなければならないということです。
質疑応答
Q:軍隊のないコスタリカについて
A:エリカ・バニャレロ監督は「コスタリカは軍隊を持っていません。1948年に軍隊を廃止し、その分の予算を医療と教育に使いました。コスタリカでは小学校の頃から、軍隊がないことを誇りに思う教育がされています。軍隊を持たなくなって他国から攻められたことはありません。それより1980年代に近隣国で紛争が起きたとき、コスタリカは軍隊がないことで紛争に巻き込まれなくてすみました。」と答えられました。
Q:原子力発電所について
A:エリカ・バニャレロ監督=「原子力発電所は軍事利用の目的で始まっているので、平和利用といっても、いつでも核兵器に転用できる。原発と核兵器はわけられない」
国本監督=「トルコに行ったとき、『原爆の被害にあった日本になんで多くの原発があるのか』と聞かれた。その疑問は世界中の人が持っている。」
両監督のお話をお聞きし、原発と核兵器を分けて考えることはできないと改めて感じました。核の平和利用はあり得ません。

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