上関原発反対の住民訴訟 第3回公判

中国電力が提出している上関原発建設にかかる公有水面埋め立て免許の延長申請の判断を山口県が先送りしているのは違法だと山口県民が訴えています。
この裁判の第三回公判が山口地裁で行われ、原告の意見陳述がありました。


平成25年(行ウ)第10号 損害賠償等請求事件(住民訴訟)
原 告  河濟盛正ら 外44名
被 告  山口県知事

陳 述 書

2014(平成26)年5月7日

山口地方裁判所 御中

原 告 草 地 大 作

わたしは、2007年4月より山口県防府市にあるキリスト教会にて牧師をしております。今回の裁判が提訴されるにあたり、山口県民の一人として原告に加わりました。
わたしは、中国電力株式会社が推進する上関原子力発電所(以下、「上関原発」という)建設計画について、2011年3月11日に発生した東日本大震災及び、福島第一原子力発電所(以下、「福島第一原発」という)の事故以前から、建設反対の意志を持っていました。原子力発電所がもたらす放射能汚染や、被曝労働者の増大、また国や電力会社からもたらされる多額の助成金によって地元住民が分断され、それまであったコミュニティが崩壊するなど、決して看過できない様々な問題があることを知っていたからです。しかし、歴代の山口県知事は、これまで「地元上関町民の政策選択を尊重する」という立場を取り続け、他の県民の声を聞こうとはしてきませんでした。それがいかに偏狭な認識であったかについては、福島第一原発事故による放射能汚染被害の実態から明らかであります。この事故を経験してもなお、地元自治体の政策決定だけで原発建設を推進することはできないと思っています。
わたしの住む防府市は上関原発建設予定地から直線距離で約50キロしか離れておらず、ひとたび事故が起これば、その直接的被害を避けることはできません。放射能に汚染され、故郷を喪失した福島の人々の現状を受け止めるごとに、上関原発は絶対建てさせてはならないとの思いを強くしました。同様の思いを抱く山口県民は相当数に上ることもまた、特に3年前の東日本大震災と福島第一原発事故以降の日々の中で、実感してきました。
上関原発反対の意思を内外に明らかにする機会の必要性を感じたわたしたちは、福島第一原発事故発生後3年の節目を前に、広く県民に呼びかけ、団体や個人の垣根を一切越えて参集できる集会を開催することを決め、その準備に取りかかりました。そして、今年の3月8日、「上関原発を建てさせない山口県民大集会」(以下、「3.8集会」という)を実行しました。当日は、県内外からおよそ7000もの人々が集い、「上関原発はいらない」との意思を表明しました。この7000人という参加者は、これまで30年以上にわたって続けられてきた上関原発反対運動の歴史において、過去最大規模となりました。このことは、山口県民の「上関原発反対」の意思が、縮小するどころか更なる広がりを見せていることを証明しています。子ども連れの若い人たちから高齢者に至るまで、本当に幅広い世代の参加がありました。これまで一度もこのような集会に参加したことがなく、声を上げられなかった新たな層の参加があったからこそ、3.8集会は7000人という動員を達成できたものと確信しております。
この集会の事務局長の任を仰せつかり、準備を進める段階においても、多くの山口県民が上関原発の建設に反対していることを知らされました。それは、集会賛同者募集と共に呼びかけられた、山口県知事宛の「『公有水面埋立免許を即刻不許可に!!上関原発建設計画中止!』 を求める署名」を寄せてくださった人々の数にも表れています。今年3月26日に山口県知事に提出された際、その署名数は合計10万6507筆にも上りました。この数には、もちろん県外の署名者も含まれますが、その多くは山口県民によるものでした。3.8集会当日には集えなくとも、署名を通して意思を示してくださった方々がこれだけたくさんおられるという事実は、この裁判の審理においても重要な意味を持つものと思います。
上関原発建設計画は、断じて認められてはなりません。山口県民の多くが、原発のない故郷の継続を望んでいます。それは、国政選挙などの際になされる世論調査の結果などによっても明らかです。どうか、裁判長におかれましては、山口県民の意思を尊重していただき、前山本繁太郎県知事の上関原発建設を前提とする公有水面埋立免許の延長申請問題に対する行政上の瑕疵の責任を問い、原告勝訴の判決を導き出していただけますよう、心からお願いをいたします。以上をもって、わたしの意見陳述といたします。


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