全国被爆二世交流会 in 長崎

2月5日、全国被爆二世団体連絡協議会(以下、二世協)は長崎市内で「全国被爆二世交流会」を開き、全国から約70人が出席しました。交流会ではまず、二世協の山崎会長や来賓の挨拶の後、2つの記念講演がありました。
zenkoku201.jpg
一つ目の記念講演は「被爆者問題の現状と課題」と題し、原水爆禁止日本国民会議の川野浩一会長が話されました。川野会長はまず、現在、日本の中でさえ、8月6日、9日に何が起きたのかを正しく認識している人が少なくなってきていることや御自身の被爆体験を話されました。そしてアメリカは原爆の投下目標として、「兵器工場と民家が隣接した中核都市」を選んでいて、新潟、京都、広島、小倉、長崎を候補に挙げたが、新潟は遠すぎるし、京都は日本の古い文化が残っているので外され、広島、小倉、長崎の3ヶ所が候補地となったこと、当時、長崎では日本の魚雷の97%や戦艦武蔵を製造していたことを指摘されました。また、当時の日本の状況として、1945年になると各都市への空襲や沖縄での地上戦などで敗戦は決定していたこと、日本政府は国体を護持するため、ソ連になんとか仲介をしてもらおうと奔走したが、相手にされず、8月8日にはソ連が参戦したこと、沖縄では8月15日以降も戦闘状態が続き、9月7日にようやく終了したことを話されました。戦後アメリカのトルーマン大統領は原爆投下の理由を当初「戦争を早く終結させアメリカの若者20万人を助けるため」としていましたが、年月が経つにつれ救えた若者の数が増えていき最終的には「100万人の若者を救えた」と変化したことをと述べられました。
最後に核兵器廃絶について「アメリカとロシア政府は核兵器を1550発まで減らす努力をするといっているが、これでは核兵器廃絶にはならない」と断じられました。
二つ目の記念講演は「放射線の次世代への影響と被爆二世問題」と題し、兵庫医科大の非常勤講師振津かつみさんがスライドを使い、これまでの動物実験での放射線の影響について話されました。ショウジョウバエやマウスなどの動物実験では放射線が次世代に影響を及ぼすという研究成果があるが、被爆二世については有意なデータはないと紹介。しかし「ほ乳類で影響がある以上、同じような影響が出る可能性は否定できない」「科学的、人道的に見て政府は二世への対策を講じる必要がある。被爆二世、三世については何か影響が出てから何かをするのでなく、影響が出る可能性を考えて対応することを国に求めたい」と述べられました。また被爆二世は被爆者より先の戦争を客観的にみれることや同じ放射線の被害者である原発ヒバクの被害者とも連携して欲しいと話されました。
その後「被爆二世運動の現状と課題」として二世協の平野事務局長からこの一年の活動報告がありました。昨年2月には広島で総会を行い、10月には日韓被爆二世交流会が釜山で行われたこと、厚生労働省交渉も積極的に行い、被爆二世の援護について話し合っているが、なかなか思いが通じないことなどが報告されました。また今年も引きつづき厚生労働省交渉を行うことや6月の日韓被爆二世交流会を山口か福岡で行う計画があると話されました。
閉会のあいさつでは二世協の寺中正樹副会長が「被爆二世一人ひとりが二世であることを今の社会に訴えるべき時代に来ている」と呼び掛けました。
今回の特徴は広島、長崎以外から来た被爆二世の数が増えたことです。九州・中国地方はもとより全国にある個人加盟の被爆二世団体とも連携を取りながら二世協と共に、被爆体験の継承と被爆二世・三世への援護を国に求めていく運動を進めていきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です